中堅・中小企業向け 3つの補助金活用ガイド 〜成長投資・人材確保・加速化補助金まで徹底解説〜
2025年は中堅・中小企業向けの補助金が多数公募予定です。本記事では、生産性向上を支援する「省力化等の大規模成長投資補助金」、大企業の人材活用を支援する「地域企業経営人材確保支援事業給付金」、売上高100億円を目指す企業向けの「中小企業成長加速化補助金」 の概要と活用メリットを解説。補助金を活用し、企業の成長を加速させましょう!
はじめに
中堅・中小企業が成長するためには、生産性向上のための設備投資 や 優秀な人材の確保 が不可欠です。しかし、大規模な投資や人材登用には多額のコストがかかり、企業単独で実行するのは難しいのが現状です。
こうした背景を受け、政府は 「賃上げ」「成長投資」「人材確保」 をテーマとした支援策を拡充しています。2025年には新たに 「中小企業成長加速化補助金」 も公募予定です。
本記事では、以下の3つの補助金の概要や活用メリットを解説します。
- 中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
- 地域企業経営人材確保支援事業給付金
- 中小企業成長加速化補助金(新制度)
中堅・中小成長投資補助金
補助金の概要
この補助金は、中堅・中小企業の省力化・自動化投資を支援し、生産性向上と賃上げを促進することを目的としています。 3年間で3,000億円規模の予算が確保される予定です。
- 補助対象:自動化・デジタル化による生産性向上を目指す企業
- 公募開始予定:2025年2月〜3月頃
- 補助額・条件:詳細は今後発表予定
活用メリット
- 設備投資による省力化・自動化で生産性向上
- 賃上げ要件を満たすことで、企業の魅力向上・人材定着に貢献
- 採択倍率は高いものの、採択されれば大規模投資の支援が可能
【公式サイト】中堅・中小成長投資補助金事務局
地域企業経営人材確保支援事業給付金
補助金の概要
経営力の強化には、優秀な人材の確保が不可欠です。この補助金は、大企業の経営人材を中堅・中小企業が受け入れる際に支援を受けられる制度です。
- 補助対象:大企業の人材を 転籍・兼業・副業・出向 で受け入れる中堅・中小企業
- 給付金額:
- 転籍(正社員雇用) → 1人あたり最大450万円
- 兼業・副業・出向 → 1人あたり最大200万円
- 申請開始時期:2025年1月下旬に詳細発表
活用メリット
- 経営人材を確保し、事業の成長戦略を強化
- 採用コストを抑えつつ、大企業のノウハウを活用
- 人材プラットフォーム「REVICareer(レビキャリ)」を活用し、マッチングが可能
【公式サイト】地域企業経営人材確保支援事業給付金(REVICareer)
中小企業成長加速化補助金
補助金の概要
2025年5月頃に公募開始予定の新制度で、売上高100億円を目指す中小企業の大規模設備投資を支援する補助金 です。
- 補助上限額:最大5億円(補助率1/2)
- 対象経費:建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費など
- 補助要件:
- 投資額1億円以上(外注費・専門家経費を除く)
- 「売上高100億円を目指す宣言」を行うこと(ポータルサイトで公表)
- 賃上げ要件など
「売上高100億円を目指す宣言」とは?
- 企業の成長ビジョンや具体的施策を公表する制度
- ロゴマークの使用で企業PRが可能
- 経営者ネットワークへの参加で、成長戦略の情報交換ができる
活用メリット
- 大規模投資を後押しする補助金
- 企業ビジョンを明確化し、社内外へのアピールが可能
- 同じ志を持つ経営者とのネットワーク形成ができる
3つの補助金をどう活用すべきか?(活用事例付き)
各補助金には異なる特徴があり、企業の成長ステージや目標に応じた適切な活用が求められます。ここでは、架空の企業を設定し、それぞれの補助金の活用イメージを具体的に紹介します。
省力化等の大規模成長投資補助金
事例企業: 株式会社〇〇製作所(製造業・従業員300名)
現状の課題
- 主要な生産工程が人手に依存しており、生産効率が低い。
- 人手不足が深刻化し、従業員の負担増加が問題に。
- 賃上げを実施したいが、利益率が低く、余裕がない。
補助金の活用方法
- 最新の自動化ラインを導入し、生産工程の一部をロボット化。
- AI検査装置を導入し、品質管理の精度を向上。
- 生産性向上により、利益率を改善し、従業員の賃上げを実現。
期待される効果
- 生産コストを10%削減し、従業員の負担を軽減。
- 労働時間の短縮と賃上げを両立し、従業員満足度向上。
- 受注対応能力が向上し、新規取引先の拡大が可能に。
地域企業経営人材確保支援事業給付金
事例企業: 株式会社△△フーズ(食品製造・従業員150名)
現状の課題
- 地方の老舗食品メーカーだが、DX化が遅れ、業務効率が低い。
- EC販売を強化したいが、デジタルマーケティングの知見が不足。
- 経営者層の高齢化が進み、新しい成長戦略を模索中。
補助金の活用方法
- 大手食品メーカー出身のマーケティング専門家を転籍採用。
- DX推進のため、大手IT企業の人材を副業・兼業で受け入れ。
- ECサイトの強化とデータ分析を活用したマーケティング戦略を導入。
期待される効果
- EC売上が前年比120%増加。
- DX導入により、受発注業務の自動化・業務効率向上を実現。
- 経営戦略の見直しが進み、持続的成長の基盤を構築。
中小企業成長加速化補助金
事例企業: 株式会社□□テック(製造業・売上30億円・従業員500名)
現状の課題
- 競争力の高い製品を持ち、売上は順調に成長。
- 海外展開を視野に入れているが、生産能力が追いつかない。
- 資金力の問題で、大規模な設備投資ができない。
補助金の活用方法
- 新工場の建設(建物費を補助対象として申請)。
- 最新の生産設備を導入し、生産能力を大幅に拡大。
- 海外向けの販売戦略を強化し、海外市場に進出。
期待される効果
- 「売上高100億円を目指す宣言」を行い、成長企業としてのブランドを確立。
- 生産能力2倍、売上高100億円達成の基盤を構築。
- 海外市場の開拓が進み、グローバル展開が加速。
- 投資による成長を支援する経営者ネットワークに参加し、新たなビジネスチャンスを獲得。
事例のまとめ:補助金活用のポイント
3つの補助金は、それぞれ異なる成長戦略をサポートします。企業の課題や目標に応じて適切に活用しましょう。
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補助金名 | 活用目的 | 具体的な活用例 |
---|---|---|
中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金 | 設備投資による生産性向上・賃上げ | 自動化ライン導入、AI検査装置導入 |
地域企業経営人材確保支援事業給付金 | 大企業の人材を活用し、経営基盤を強化 | マーケティング人材の採用、DX推進 |
中小企業成長加速化補助金 | 売上高100億円を目指し、成長を加速 | 工場新設、海外進出、ブランド強化 |
補助金をうまく活用することで、企業の成長戦略を具体化し、持続的な成長を実現できます。ぜひ、申請要件を確認し、自社に合った補助金を選択してください!
まとめ(今後の準備・注意点)
2025年は中堅・中小企業向けの大型補助金の公募が相次ぎ、企業にとって貴重な成長支援の機会となります。しかし、補助金の申請には事前準備が不可欠です。各補助金の要件をしっかりと確認し、早めに準備を進めることが重要です。
特に、補助金の申請には 「GビズIDプライムアカウント」 の取得が必須となる場合があるため、まだ取得していない企業は早めに手続きを完了させておきましょう。
また、補助金の採択率は必ずしも高いわけではなく、競争が激しくなることが予想されます。そのため、事業計画の精度を高めることが成功の鍵となります。投資計画や人材確保の方針を明確にし、申請書の内容を具体的かつ説得力のあるものに仕上げることが求められます。
補助金をうまく活用することで、中堅・中小企業は生産性向上や人材強化を図り、持続的な成長の基盤を築くことができます。今回紹介した補助金を有効に活用し、自社の成長戦略を実現させていきましょう。
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行政書士平野経営法務事務所
代表・行政書士 平野 泰嗣